書いて、息して、

書きたいことがある限り書く。

時をつむぐ旅人

連休中に読んだ本

お題「我が家の本棚」

連休前に色々買った中の一冊。

読み応えがあって良かった。

番組の放送自体は残念ながら見ていないのだが、内容としてはこの本だけで充分だった。

私の好きな萩尾望都さんの、しかも彼女の数ある作品の中でも大好きな作品について、これだけ掘り下げて、かつコンパクトにまとめてくれて、ありがとうという気持ちになった。

 

本の構成としては、4人のゲストがそれぞれの作品について語っていくスタイルなのだが、4人とも萩尾オタなので、それぞれ萩尾作品との出会いがあり、その作品から受けた衝撃を語っているところが面白い。

その気持ち分かるわ~と思いながら読み進めていった。

 

トーマの心臓

私が初めて読んだ萩尾作品は「トーマの心臓」だった。

母の本棚から借りて読み、夢中になって3回連続で読み直したと思う。

トーマの心臓は難解な作品と、この本では触れられていたが、当時の私は難しいとは感じなかった。

テーマ自体の難解さよりも、ドイツのギムナジウムを舞台に繰り広げられる人間模様や、静謐な筆致で描かれる愛すべき登場人物達に夢中になっていた。

確かに、この作品の伝えたいことを自分の言葉で表現するのはとても難しい。

人の愛とか死について、本気で考えさせられたのは、この作品が人生で初めてだったと思う。

自分の成長とともに物語の解釈も変わってくるため、定期的に読み直したい作品である。

そろそろまた読み直したいなと思った。

 

半神、イグアナの娘

続いて「半神」、「イグアナの娘」も、短編ながら一度読んだら忘れられない衝撃を孕んだ作品。

これも私の好きな作品である。

ちょうど「半神」は手元にあったので、即座に読み直したが、やはり名作だなと思う。

小学館文庫のこの短編集は「半神」以外も、本当に名作ぞろいで夢中になって読める。

 

 

ポーの一族

ポーの一族」は「トーマ」よりだいぶ後になってから読んだと思う。

この作品に出会って以降、吸血鬼ものが大好きになってしまった。

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」も「ぼくのエリ 200歳の少女」もエドガーとの出会いがなければ、私には縁のない作品だっただろう。

ついでに「ヴァン・ヘルシング」も好きになったが。

 

勢いづいてコミックス版「ポーの一族」全巻セットを購入したので、読みたいと思う。

続編もあるなんて知らなかった。

何十年も経ってからまた連載できる萩尾さんもすごいが、「ポーの一族」という作品だからこそできたのだろう。

時を超えて愛される作品だと思う。

 

この本の解説でいいなと思ったのが、物語を時系列順に並べた表。

これがすごく有難い。

漫画の方は時系列がばらばらに進んでいくため、時々頭が混乱するのだ。

一度、時系列順で読んでみたいと思う。

 

この本で取り上げられていた中では「バルバラ異界」のみが未読であった。

SF作品も構成が素晴らしいので絶対に読まなくては。